言葉にならない景色
10月5日
カメラで人を撮るという事
火鍋
「車止めてください」
朝方8度まで下がった気温の中、移動するバスを突然、久美子が止めた。
彼女が集団行動の流れを止める事は珍しい。車を降りた彼女の後を乗客が続く。
振り返ると朝日が雪山を照らし、心が洗われるような絶景が広がっていた・・・。
「人は美しいものを美しいと感じる為に生まれて来た」
窓の外を流れる美しい雪景色には音楽さえも邪魔になる。
何もしなくてもいい。話しもしなくてもいい。ただひたすら心を奪われ続けた時間。
南米パタゴニア以来の感動。なんて美しいんだろう…。
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コロンボを出てから長い間の海の生活から山の生活シフト。
山に囲まれて育ったのに、山がこんなに素晴らしいものだと思った事はなかった。
海での押し寄せる大小の無数の波は人の心のよう。決してフラットになる事はない。
対して山は厳密に言えば動いているけど、どんなに風が吹こうと嵐であろうと動く事はない。
一概には言えないのかもしれないが、海にいるタイプはチャラチャラしたのが多い。
しかし、山にいる人は落ち着いた人が多い。それは山の不動の波動を感じてるからだろう。
それは第一チャクラの根を張るイメージそのもの。心がどっしりと落ち着く。
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「そこに山があるから」と命を懸けて登る人がいる。
「なんでそんな事するの?」それは登った人にしかわからないだろう。
サーフィンだって同じ。自然と調和する素晴らしさは人間冥利に尽きる。
でっかい地球にちっぽけな自分。ちょっと調子に乗るとあっというまに死ぬ世界。
そういう中で「謙虚」さと「感謝」のかけがえのない大切さを自然から学ぶのだ。
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そんな事を考えながら感極まっていると、ついに地球で一番高い山が目の前に現れた!
8848m。英語名エベレスト。チベット名チョモランマ。
世界一高いその場所は最も宇宙に近い神聖な場所であり、
人の命をいとも簡単に一瞬で奪い去る、地球上で一番過酷な場所でもある。
その場所に子供がいようと、妻がいようと何百万ものお金と時間と
たった一つしか与えれれていない「命」を懸けてチャレンジする人々がいる。
生と死の境で得られる感動はある種、麻薬のようなものなんだろうと思った。
山はただ見ているだけなのと、実際に登ろうと見てるのでは全く違うと言う。
波を見るのも同じなのでその感覚は良く分かる。ハードルがあがればあがるほど
綿密な計画や自己管理、イメージや決断力など求められる。それは人生も同じだろう。
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ふと、「エベレストが夕日に染まる時どんな風に見えるんだろう…?」と思った。
宇宙を感じる壮大な空にそびえ立つ天使のような真白で純粋なキャンパス。
そこに刻一刻と色合いを変える美しい夕日の色が映し出されたらどう見えるんだろう?
一瞬一瞬がこの世の物とは思えないほど崇高で輝いているんだろう・・・。
いや、言葉も説明も不必要だし、どれも不適切なんだろうな。
純粋な自分っていう意識がそこにあるだけになるんだろう。
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「人は美しいものを美しいと感じる為に生まれて来た」 か・・・。

