奇跡のライブハウス- 突き刺さった声
10/4 岩手県広田町
「母と二人ですが、それでもよければ泊まってください」
陸前高田の傾聴ボランティア初日の懇親会でとなりに座っていた男性が、そう言ってくれた。
彼の名前はJoさん(63) サックスをやっていて、岩手Jazzに参加したこともあり、見た目もとても若々しい。
お言葉に甘えて、傾聴ボランティアが終了した今日、心から感謝して泊めさせて頂くことにしました。
彼も被災した一人。家の前にあったお店や他の建物は全て流されて何もなくなった。
海のすぐそばにも関わらず、奇跡的にJoさんの家は一階部分だけが流されて家は残った。
そんなJoさんが陸前高田の被災した場所を車で案内してくれた。ここの被害は尋常じゃない。
こちらも被害が大きかった大船渡。この地形が津波をまともに受けてしまったんだろう。。。
衝撃的な事実を目の当たりにして、口にする言葉もなかった時、こちらもボランティアで一緒だった
Keikoさんがランチを誘ってくれたので、ご一緒させていただくことに。会話も弾み楽しいひと時。
美味しいお寿司とお茶をごちそうになってしまいました。ご縁とお心遣いに感謝。
(※何かできることはないかって来てるのに、ご馳走になってどないすんねん!と思いましたが・・・)
さて、ランチを終え一通り見て回ったのでJoさんのお宅に到着。昔ながらの立派な二階建ての家。
流された一階部分はリフォームを終えてとても綺麗。そこが我々の寝させてもらう場所。
なんだか、あまりにも心地がよくて温泉宿にでも来たような気分になってしまいました・・・。
(※何かできることないかなって来てるのに、くつろいでもてなされてどないすんねん!!と思いましたが・・・)
今夜はJoさんはJazzのライブ。実は今日はすごいイベントなんです。というのも、
海の目の前にありつつも流されなかった奇跡のライブハウスがあり、今やそこは岩手の音楽のシンボルとなった。
今夜そこでいくつかのバンドが演奏し、さだまさしさんが番組の撮影の為に来るらしいのです。
Joさんのバンドは以前にもさださんと共演したことがあるらしく、関係者だけ知るシークレットな夜なんです。
「俺ら沿岸部育ち。俺らを助けたのは金じゃねぇそ”!!!」
一発目の金髪と革ジャンの地元ロックバンドのボーカルがスピーカーによじ登り、
観客を見下ろして言葉にならない程の大声でシャウトした。高校生くらいかな・・・。
辛いとか苦しいとか大人はそこまで露骨には口にしない。被災した彼らの魂の叫び。
その時の心境をあえて言葉にするのなら、割れたガラスが胸に深く突き刺さったうような衝撃だった。
その後はJoさんのビックバンドの演奏。大人のカッコイイJazz。そして、さださん登場。
今までどんなライブでも一緒に口ずさむことは一度もなかったけど、さださんの北の国からを
会場にいる人たちと口ずさんだら、北海道の雪景色が浮かんできて、ふと故郷が懐かしく思えた。
さすが大御所。歌もよかったし、トークも面白かった。一緒に来ていたナオト・インティライミさんも
元バックパッカー&ストリートのミュージシャンだっただけあり、独特の人柄が好感度をもてた。
音楽は好きか嫌いか自分の好みで聞くとつまらないけど、心で聞くとどんな音も楽しめる。
今夜は泣いたし、感動した。みんなよかった。もちろんJoさんのバンドもCoolだった。
しかし、今夜一番心に残ったのは最初のバンドのボーカルだった。。
帰り際にさださんとナオトさんと握手してライブハウスの階段を下りるとボーカルの彼が静かに立っていた。
思わず手を差し出して「魂震えました。最高でした」と言ったら、さっきまでのシャウトぶりが嘘のように
恥ずかしそうに頭をさげ、「ありがとうございました」とボソッとつぶやいた。
その繊細なシャイさとステージの激しさのギャップ、手を握った時の感じを今でもハッキリ覚えてる・・・。
Joさん何から何までありがとうございました!!
旅の思い出に残る、最高に素晴らしい夜でした。
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この番組は10/25(木)午後10:00~10:59 BSプレミアムで放映されます。
再び歌を 再び夢を!~さだまさし&ナオトのライブ大作戦~
是非、ご覧下さい。お見逃しなく!! PS 誰か録画しておいてください。