繋がっていたのは・・・
9月11日The Galaxy Lounge,
風邪&日焼けダウン
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9月12日The Galaxy Lounge,
発熱37.7℃
嬉しかった事
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9月13日The Galaxy Lounge,
ラストサーフはボロボロ
おじさんの家へ
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~繋がっていたのは・・・~
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旅の醍醐味の一つに人との出会いがある。
見知らぬ場所で、見知らぬ人との出会い。
文化も言葉も全く違うのになぜか相手の言いたい事が理解できる。
同じ気持ちをシェアできる。それって最高なんだよね。
しかし、残念ながら心と心が繋がっていると思ってると
繋がっていたのは心ではなく、「財布」だったということがよくある。
アフリカの無人島で2日現地の人と過ごし、「ウルルンみたいじゃない?」と
感動の別れの直後振り返ると、みんなで一斉にチップを数えてた姿が今も心に残っている。
「なんだ金だったんだね」 旅しててこの言葉を何回口にしただろう?
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アルガンベイも今日で最終日。
数日前から足にばい菌が入り、久美子と同じ状態になった。
さらに風邪も引いて高熱で体も重く、日焼けもひどいしボロボロの状態。
それでもこれで最後のサーフ。今後倒れても波乗りしたい。夕方海に行く準備をしていた。
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すると、ホテルのレセプションに一人の初老の男性が「日本人はいるかい?」と尋ねていた。
誰だろう?と思って、よく見るとサンダル屋のおじさんだった。
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以前、久美子のサンダルが壊れた時に、たまたま立ち寄った店の人だったんだけど、
数年前のスマトラ沖地震による津波で、体の半分が不自由になりながらもなんとか生き延びた人だった。
なので日本の津波の事も気にしてくれていて、「近くに来たらまた店によっておくれ」と
言ってくれていた人だった。その後、その店には行く事はなかったが、
どこか寂しそうなその姿がいつも心に残っていた。
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アルガンベイでは「味」のある個性的な人が多い。以前から人物写真に興味を持っていた久美子が
町の人を撮って写真を配る事にした。旅では本当に人に支えられ、助けられる事が多い。
自分達が何か喜んでもらえる事ができる時は積極的にやったほうがいい。
いつも行く定食屋のおじさん、果物屋、ローカルフードの店、色んな人を撮った。
当然、そのサンダル屋のおじさんの写真も撮っていて、写真をあげるとすごく喜んでくれたという。
すると、サンダル屋のおじさんが「妻が食事を作るので是非、家に招待したい」と言ってくれたらしいんだけど
俺の体調が悪く、寝込んでいたのでそれどころではなく断念せざるを得なかった・・・。
そんな状況の中、今、おじさんがホテルを訪ねてくれた。
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果物のお土産と、「小さなものだけど」と現地の人が腰に巻く布のプレゼント。
なんて温かい心遣いなんだろう。こんな風にしてもらったのは初めて。
さらに、「これはワイフから」と奥さんから手紙をもらった。
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初めまして。主人からとても素敵なカップルと会ったと聞いていたので
料理を用意して待ってましたが体調が悪いとのことで、お会いできない事がとても残念です・・・
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読んでみるとチキンやデザートなど俺らの為に色々と用意してくれていたらしい。
そこまで思ってくれたのなら、体調がどうのと言ってる場合じゃない。
その心を大切にしたいと思い、夜におじさんの家にお邪魔させてもらう事にした。
おじさんからもらった腰巻をして、ローカルの人が住むエリアへ向かう。
実は2年以上旅してるけど、現地の人の家に遊びに言った事は一度もなかった。
行けば「ウルルン」みたいな感動もあるんだろうけど、その分リスクもある。
一人旅ならいざ知らず、大切な彼女と一緒のこの旅。そういう事には慎重に対処してきた。
しかし、今回は身元の割れている人だし、今までの旅で人を見てきた経験からも「Go」だった。
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観光客のいないアルガンベイの村の中にあるこじんまりとしたお宅。
ホテルで勤めていた時に出会ったいう奥さんとの二人暮し。
「うちのワイフのメシはうまいぞ!」と楽しみに料理を待ちつつ、薄暗い蛍光灯の明かりの下
日本やスリランカの事、仕事や趣味など、色んなテーマについて話をした。
奥さんもすごく感じのいい人だった。料理も美味しかった。
料理っていうのは本当にその人の心がハッキリと伝わるもの。
とても心のこもった愛のある料理だった。・
「お金もったいないから、今度来た時はうちに泊まりなさい」 そうも言ってくれた。
人と人の出会いに感動と感謝をしつつ喜びを感じてはいた。
でも、二人とも口にはださなかったけど、心の中でどうしても思ってしまうことがあった。
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「最後にお金って言われたら…」
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お金を払う事が嫌なわけじゃない。むしろ、ここまで良くしてくれたら喜んで払ってもいい。
そういう事じゃなくて、「親切の裏側はお金欲しさで、心と心じゃなかったんだ」
と傷つくのが怖かった。今まで何回そんな思いをしてきたんだろう?
でも、しょうがない。みんな生活があるわけだし、宿、タクシー、ツアーその他、
訪れる場所全てで俺らは「客」であり彼らと利害関係に基づいている。
俺ら単純だし、信じやすいじゃない?いつのまにか日本人の社交辞令も気付かなくなってた。
そんな事を繰り返し、傷つきながらも人との距離を測るようになっていった…。
みんなそれぞれの立場で、それぞれが正しい事をしている。それが地球なんだよね。
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でも、今回は最後の最後までそんな事を言われる事はなかった。
そんな事を考えてしまう自分達が少し嫌だったが、心と財布ではなく、
心と心が本当に繋がりあえた喜びを、星空に照らされた暗い小道を歩きながら実感した。
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人は人間関係を学ぶ為に地球にこの世に生まれてくる。
どんなに傷ついても、だまされても人を信用し続ける人でありたい。
たくさんの人と幸せをシェアできる人でありたい。
おじさん、おばさんありがとう!元気でね。