苦しかった、あの夜
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9月2日
なんだか、足が痛い。
靴擦れしてできた足の甲の傷がズキズキと痛む。
歩いているだけで痛い。
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気が付けば、体も痛い。
腰から背中にかけて、ズシンと体が重く、痛んできた。
風邪の初期症状のような感じなんだけど
それよりも、もっと辛い。
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10年位前にタイで入院したことがある。
タイの首都バンコク滞在中に、足の甲が1.5倍くらいに
腫れ上がり、病院に行くと、即入院。
足にあった小さな擦り傷から、ばい菌が入ったとか。
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バンコクは大都市だったから、運良く設備の整った大病院で
何不自由ない快適な1週間の入院生活ではあったけど
入院中はずっと車椅子で生活するという大事になった。
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第三国では、どこで何が起こるかわからない。
小さな傷でも甘く見てはいけない。
早めに病院に行くべきなんだろうけど
大きな都市ならともかく、アルガンベイにいい病院はないだろう・・・
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そんな中、彼が冷静かつ的確な判断をしてくれた。
まず、持っていた「抗生物質」と「痛み止め」を飲むこと。
そして、足は消毒した後、バリの病院でもらったという
「貼っているだけで傷口を再生してくれるテープ」で治療した。
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普段は健康で弱気なことは吐かないようにしてる私も
この日は、本当に辛かった。
しかも、隣のホテルでは、野外でレゲエパーティーの真っ最中。
大音量で響く「ドン、ドン、ドン」という低音と、「ズキ、ズキ、ズキ」とする体の痛みが重なる。
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あまりにも辛すぎて、気持ちも折れそうだった。
そんな状態がしばらく続いて、朦朧としていた。
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そんな時、ふと、晴れやかな気持ちになった。
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「今、ここで終わっても、後悔のない人生だった!」
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そう考えると、大きな感謝の気持ちに包まれた。
こうして好きなことが出来ているのも、支えてくれている家族のおかげ。
そして、一番側にいる大切なパートナーのおかげ。
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感謝、感謝、感謝、感謝・・・
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大音量で響く「ドン、ドン、ドン」という低音と、「ズキ、ズキ、ズキ」とする体の痛み
それと、心の中で繰り返される「感謝、感謝、感謝」の言葉。
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今、考えたら大げさな話に思うけど
その時は、本当にそんな気持ちだったんだ。
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